*楽曲解説-Never-*『eternal wish〜届かぬ君へ〜』 | 「Team R」 Official Blog

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こんにちは、YUKIです★

 

本日は2016 Raphael アルバム制作プロジェクト”2枚目”

Ending -1999072319991201-」の

マスタリングに立ち会っております^^

 

合間を縫って本日も楽曲解説がいけそうなので

のんびり綴っていきたいと思います♪

 

サテ、掲題の通り

今回は

『eternal wish~届かぬ君へ~』です★

 

YUKIの作曲デビュー作品であり

Raphaelオリジナル第1号でもある

思い入れの強い作品です。

 

2012年の「再演」に併せて

再録したテイクを今作「Never -」では

更にリマスタリングして収録しました。

 

10代当時のレコーディング環境は

今のように「デジタル」主体ではなく

ほぼ100%が「アナログ」=テープ録音だったので

当時の華月のレコーディングテイクを発掘するのに

物凄い時間と労力を要しました。

 

華月のギターテイクと奇跡的に再会できるまでの

気の遠くなる様な時間と物事の流れがですね…▼

 

1:

当時お世話になっていた

レコードメーカーの「フォーライフ」にお伺いして事情を説明、

倉庫から手作業で捜索させて貰う許可を貰う(YUKI)

 

2:

フォーライフの倉庫にて何千本と在る

「無記名」のアナログテープ資料より

「Raphael・eternal wishの資料」と思わしきテープを長い時間を費やして

奇跡的に発掘(俊輔 aka ジョニー)

 

3:

業者さんに依頼して

テープ内のカビやホコリを洗浄、再生できるか確認(業者さん)

 

4:

再生できず絶望するが、

一か八か専用のオーブン*1で焼く事で

ごく稀に復活できる事を知り、物凄く悩む(YUKI・ジョニー)

 

5:

奇跡を信じてオーブン施術を決断(YUKI)、

見事復活を遂げる(テープちゃん)

 

6:

音声は戻ったが、アナログテープ故の劣化(伸びちゃった)&オーブン加熱のダメージで

テンポとピッチが歪んでしまった(テープちゃん)

 

7:

フレーズや音色の歪みを音符ひとつひとつの単位で補正していき

見事「デジタル補完」に成功する(エンジニア・小寺氏の偉業)

 

 

 

と、文字で綴るとあっさりですが、

プロジェクト全体では実に約半年以上に及ぶ各種手配の労力と

オーブン*決断に至るまでに長い長い心の葛藤がありました。

そして何と言っても

ジョニー&小寺 両氏の惜しみなく注いでくれた時間の賜物、功績なのです。

 

そうして奇跡的な華月本人のテイクと再会できて

約12年越しに録音した(歌った)同曲。

 

歌いながら色んな記憶が次々と鮮明に蘇り

いつもより少し涙を呑みこんだ丸みのある歌声に仕上がりました。

 

華月の作詞デビューでもある同曲。

 

歌詞中には「君」も「あなた」も出て来て

二人称がとっ散らかっていたり

全体的に情景描写や言葉のチョイスが荒削りだったりする部分は

当時から厳しい評価の対象となっていたけれど、僕は今でもとても好き。

まさにあの当時にしか描けない「純粋」がギュッと詰まった

魅力的な詞の世界なのです。

 

僕にとって

今でもriceや楽曲提供のお仕事などで作詞・作曲・編曲をする時の

「基準」となる楽曲であり、何より音楽人生の「原点」でもある

人生で一番大切な楽曲なんです。

 

同曲の誕生当時は音楽誌の取材なんかで僕は

照れ隠しに「うんこしてたらメロディも一緒にブリブリ出て来た~」とか

各所で飄々としたトーンで語ってますが

 

実際は急にパッと浮かんだメロディが果たして

既に誰かのモノなのか「オリジナル」なのか

 

どうにも今すぐ判断してもらいたい

不安にも似た衝動に駆られて

家にあったオモチャの鍵盤のスピーカー部分に

コードレスフォンを当てがって

真夜中に無理を圧して華月に電話して聴いて貰っていたくらい

気持ちが高揚していたんです。

 

「メロディが降って来る」感覚を初めて経験した

あの心から身震いするドキドキ感は一生忘れない僕の財産です。

 

電話越しにメロディを聴き終えた華月も高揚していたのか

「今から作詞するから明日すぐ会おう!!」と

すぐさま別れの挨拶も無しに電話を切られたのを覚えています 笑

 

そして早くも翌日には「eternal wish*2」と命名され

山手線の中で嬉しそうに手帳に書き込んだ歌詞を

僕に解説する、学生服姿の華月が居ました^^

 

「eternal wish~届かぬ君へ~」

僕はこの先の人生でも

数多 作詞・作曲・編曲に挑戦していくと思いますが

新たな作品を創造する度に

きっと何度も何度もこれからもこの楽曲誕生の瞬間と

仲間との掛け替えの無い時間、「青春」を思い返す事でしょう…☆

 

= = = = = = =

 

【本日の注釈】

 

*1

テープの細かな傷の間などに入り込んでしまって

洗浄しきれないカビやホコリだけを焼き切る目的で

オーブンに掛けるのだが、テープ本体の損傷・劣化が激しいと

テープそのものも灰になってしまうため

消失リスクが非常に高い。成功確率は50%ともそれ未満とも言われている。

 

*2

誕生当初は副題の「~届かぬ君へ~」はついていなかった。

のちに「LILAC」「VISION OF EXTREMES」などの作品に収録する運びとなったタイミングで付け加えられた。(YUKIペディアより抜粋)